東京會舘
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Vol.8

Vol.8

灯火管制の下で

前略 今朝、購読している新聞の間に「東京會舘90年の記憶」という写真を見つけました。セピア色の旧東京會舘の姿に過ぎたかつての時間を思い出しペンを取りました。
私共(主人は七年前に九十才で他界しました)は昭和十九年五月二十日に旧東京會舘で挙式と披露宴を致しました。戦中でしたが、親類・友人達にかこまれとてもなごやかなお式でした。
披露宴も終わりに近い頃、係りの方が二、三人で急に窓のカーテンを閉め始めました。友人の祝辞を聞いていた私は別に何も気がつきませんでしたが、宴会後、アメリカの偵察機が一機上空に現れ警報が出されたとのことでした。しかし宴会の係りの皆様が私達の式を何とか無事終わらせようといろいろお心遣いをしてくださったとのことでした。
無事式が終わり実家の家族や友人達にも別れをつげ、管制下で真暗な正面玄関に出た私は、急に心細くなり立ち止まってしまった時、その日一日私の身の回りをお世話くださったご婦人の方が、さっと私の側にいらして私の手をにぎり「きっとお幸せになってくださいね」とお声をかけてくださいました。
その時の声のやさしさ、手のぬくもりは八十七才の今でもハッキリおぼえております。戦前、戦中、戦後を生きぬいてきたすべての時間が、この写真の中に感じられ、あらためて人生、生きるという事を考えさせられました。乱筆乱文で大変失礼致しました。ますますのご繁栄を心からお祈り致します。失礼致しました。


服部 和子様

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